2018-04-04から1日間の記事一覧

通勤列車連載7

たとえば指先、君の腰骨。物事に命は宿るのに、命の説明は物事ではできない。ややこしい世界に生きている。魅力的だ。明日も会いたい。彼はすっかり乗り過ごした。人波に押されて彼女は降りた。品川だった。小一時間ほど遅れたせいで、職場ではガミガミ怒ら…

通勤列車連載6

どうしよう、と僕は思った。人の意識の届かぬところで、僕は君に触れていたし、そこに抵抗の余地はなくて、受け入れるしこ術のない君は君は腹の底から怒っていた。まるで万有引力のように、二人は引き合って生きていた。重力に逆らって立っているには、互い…