脱落編集者

クリエイティブ能力がない 企画力がない プレゼン力がない コミュニケーション不足  ちぐはぐ  見当違い  はなはだとは私の前に付くーーー

  

これは全部今の私だ。脱落編集者の身に染みる“何も異論ありません”の文字。私の底に巣食うのは、こんな言葉じゃないはずだった。もっときらきら昇ってゆく、人の血肉に侵食する言葉。そんなものひとつも持ってなかった。少しは持ってたかもしらぬけど、シビアな本職で生き残れない、かわいい趣味レベルのものだったのだ。これからわたし、どうしよう。わたしこれからどう生きよう。好きな男を誘惑できない、自分の魅力がわからない、顔が50点なのだから、匂い立つ何かで生きたかった。なのに私から通うのは、満員電車にぐだぐた揺られて、服に移った知らないオヤジの体臭だけだ。