2018-03-30から1日間の記事一覧

通勤列車連載5

僕が見つめる視線の先で、彼女の肌がゾクリとあわだつ。螺旋を駆け上がる音楽が、彼女の首を這い上がって頬を大胆に染めてゆく。息が上がる、睫毛を伏せる、こぼれるような光の中で、彼の視線がその輪郭を犯した。音の洪水に飲み込まれ、女が息を吸い込んだ…